相続で揉めないために!遺留分に配慮した遺言書を書くポイント3選

こんにちは、佐賀県小城市で行政書士をしている、井本芙美(いもとふみ)と申します。

突然ですが、遺留分という言葉をご存知でしょうか?
実は私も行政書士を目指して勉強する中で初めて聞いた言葉でした。

相続の場面で使う言葉なので、普段なかなか耳にする機会もなく、ご存じない方も多いのではないかと思います。

しかし「遺留分」について知ることは、遺言書を書く時や相続の場面で大いに役立ちます。

そこで、今回は

遺留分とは
遺留分に配慮‐遺言書を書く際のポイント‐

この2点を、ご紹介させていただきたいと思います。

1.遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続できる遺産の割合のことです。

例えばもし、兄弟の1人にすべての財産を与えるという不公平な遺言書が出てきたら・・・。
もし、すべての財産を愛人に与える趣旨の遺言書が出てきて、その通りに相続が進んでしまったら・・・。

そうなると残された他のご家族(相続人)の生活が危機に晒されてしまうことになりかねません。

そのようなことが起こらないよう、民法は遺留分の制度によって相続人の最低限の生活を保障しています。

1‐1 遺留分が認められる相続人の範囲

民法で遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の法定相続人です。つまり

  • 配偶者
  • 直系卑属(子や孫など)
  • 直系尊属(父母や祖父母など)

が、遺留分を請求する権利を持っている相続人ということになります。

1‐2 遺留分の割合

遺留分の割合ですが、相続人が直系尊属(父母など)のみの場合と、それ以外の場合で割合が異なります。

相続人が直系尊属(父母など)のみである場合、被相続人の財産の1/3が遺留分
それ以外の場合(相続人に配偶者や子どもがいる場合)は、被相続人の財産の1/2が遺留分となります。

この遺留分は遺留分権利者全員の遺留分の合計(総体的遺留分)となるので、
これを更に法定相続分に従って分けたものが、遺留分権利者それぞれの遺留分となります。

法定相続割合についてはこちらの記事でご紹介していますので、よろしければご参照ください。

相続人とはどこまで?相続人の範囲と法定相続分についてわかりやすく解説

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例えば被相続人の財産が6,000万円、遺留分権者が配偶者父母であった場合
総体的遺留分は被相続人の財産の1/2なので3,000万円。

また、遺留分権利者の法定相続分が以下の表のようになります。

配偶者2/3
1/6
1/6
※父母の法定相続分は合わせて1/3ですが、2人で割るので1人当たり1/6となります。

ですので、今回の場合、

配偶者の遺留分は2,000万円、父母の遺留分はそれぞれ500万円ずつということになります。

2.遺留分に配慮‐遺言書を書く際のポイント‐

ここまで遺留分とは何かをご紹介してきました。
では、遺留分と相続争いにはどのような関係があるのでしょうか?

遺留分を侵害した遺言書が出てきたとしても、遺留分権利者だから安心!

と思いたいところなのですが、遺留分を侵害した遺言書でも、遺言の形式に沿って書かれていれば原則有効となります。

つまり、遺留分権利者は侵害された遺留分を当然に貰えるわけではなく、遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害している相続人等に対して請求する必要があります。

この請求を遺留分侵害額請求といい、侵害されている遺留分に相当する金銭の支払いを求めることができます。(補足:遺留分侵害額請求には時効があります)

そして、この遺留分侵害額請求により揉めてしまうケースは少なくありません。

せっかく大切な方々のために書いた遺言書で、不要な争いが起こるのは悲しいですよね。
ここでは相続で揉めないために、遺留分に配慮して遺言書を書くポイントを見ていきたいと思います。

2‐1 遺留分を侵害しない遺言書を書く

相続で揉めないために、やはりいちばん良いのは、遺言書を遺留分を侵害しないような内容にしておくことです。

あらかじめ遺留分に配慮して財産を分配した内容の遺言書であれば、相続争いは起こりづらいでしょう。

特定の相続人に財産を渡さない趣旨の遺言書を書くことも可能ですが、それが原因で、相続させたい大切な人が相続争いに巻き込まれてしまうのは避けたいところです。

遺言書が原因で相続争いが起きてほしくないという方は、まずは、遺留分を侵害しない内容の遺言書にすることを検討してみましょう。

2‐2 付言事項を活用する

それでもどうしても遺留分を侵害してしまうような内容の遺言書を残したい場合、付言事項を活用するのもおすすめです。

遺言書の付言事項とは、法的効力はないけれど、遺言者が相続人に伝えたいことを書き記した、いわば「相続人への最後の手紙」のような部分のことを言います。

特定の相続人にほかの相続人と比較して多くの財産を与えたいときなどに

  • 特定の相続人に多くの財産を与えるような遺言を残した理由
    (介護をしてくれた、事業を継いでくれた)
  • 遺留分の請求をしないでほしいといった希望

このようなことを相続人への感謝の気持ちや思いとともに書き記しておくことで、もしかすると、遺留分請求が起こらずに済むかもしれません。

このとき相続人への恨み言なども書いてしまうと、争いの原因になりかねないので避けましょう。

2‐3 相続人にあらかじめ説明し納得してもらう

生きているうちに、遺産の分け方についての自分の考えや思いを伝えておくのも方法の1つです。

ここで大切なのは、相続人に納得してもらうということです。

伝え方によっては揉めてしまう可能性もあります。誰に、何を、どのように伝えるか、事前にしっかりと考え準備しておきましょう。

相続人全員に納得してもらうことができれば、相続で揉めずに済む可能性が高くなります。

相続人に納得してもらった上で、以下の要件がそろうのであれば、遺留分権利者に家庭裁判所で遺留分放棄の申し立てを行ってもらうことも、検討してみるといいかもしれません。

  • 遺留分の放棄が遺留分権者本人の自由な意志によること
  • 遺留分放棄の必要性や合理性が認められること
  • 遺留分権利者への十分な見返りがあること

遺留分放棄とは、遺留分を請求できる権利を放棄することです。

相続放棄と異なり、遺留分は生前でも放棄することが可能です。ただし、必ずしも裁判所の許可が下りるわけではない点に注意が必要です。

おわりに

今回は遺留分と、遺留分に配慮した遺言書の書き方についてお伝えしてきました。

相続争いを起こさない確実な方法というのはありませんが、争いが起こる原因を少しでもなくしていくことはできます。
遺言書を作るときは、遺留分に配慮して作るようにしてみてくださいね。

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投稿者プロフィール

井本 芙美
井本 芙美
昭和62年生まれ。宮崎生まれ、佐賀育ち。
佐賀県立小城高校卒業後は国立大分大学へ進学。大学卒業後は一般企業にて約10年事務職を経験。離婚を機に同じような人の役に立ちたいと思い、行政書士を目指す。
令和3年度、2度目の行政書士試験で合格し、令和4年10月、行政書士登録完了。
好きな食べ物:麺類  好きな動物:猫